渋谷の中堅居酒屋と大衆居酒屋でバイトしてた頃の話

繁華街の居酒屋は多くの社会人が行ったことがあるかと思う。

 

今でも私は赤提灯などのお店が好きだ。

 

特に東京の下町の居酒屋が好きだ。

 

そんな私も学生時代、下町ではないが渋谷の居酒屋2つで約半年ほど夜勤を含めバイトしていたことがある。

 

半年なのは、卒業の半年前から始めたからである。

 

私の学科は国試があるため、周りが段々バイトを辞めていくのだが、それを見て就職したら、もう良い意味でも悪い意味でもバイトできなくなるんだよなと思ったら、急に未経験の居酒屋でバイトしたくなってしまったのだ。

 

周りからは、なぜ今?とか頭おかしくなったのか?とか、遂に諦めたか等々ボロクソ言われたのも今では良い思い出である。国試受かったからだけど。

 

なぜ2つも居酒屋でバイトしたかというと、安い大衆居酒屋と中堅所の少しお高い居酒屋で働いて内情を比較したかったからである。

 

どちらもJR渋谷駅から徒歩10分以内の所だったので週末や祝日は激混みでクソ忙しかった。

 

そして、どちらも常に人手不足だった。

 

特に初め驚いたのはバイトの入れ替わりの激しさだ。

 

新宿でカフェや下町のコンビニでバイトしていた頃は、比較的のんびりだったし、真面目な学生が多かったからか、卒業まで残ってたし、辞める時は事前アナウンスがあった。

 

しかし、渋谷の居酒屋はバンドマン系のフリーターが多かったのもあるからか、ある日突然消えることが多々あり、当日急に人手不足になることが毎回あった。

 

特に金曜、土曜なんかは悲鳴がLINEに上がっていたものである。

 

まぁバイトからしたら誰だって忙しい日は避けたいものだが、中堅居酒屋の方は、その日の売上が幾ら以上だったら、その日出勤したバイト全員時給アップ等の還元があったし、何より社員が良い人だった。

 

そんな所でも急に来なくなる人、所謂「飛ぶ」人は多々いた。

 

新参者は慣れていないのと、忙しさや不十分な人手のために半ば叩き上げ状態なので、参ってしまうとのかな思った。

 

所詮バイトという感覚もあるのかもしれない。

 

ただ私は人間どんなに仕事がキツくても、社内の人間関係さえ良ければ何とかなると、この時学んだ。

 

仕事はキツかったけど大手企業だったから、雇用形態もしっかりしていたし、何より客層が良かったからトイレ掃除も楽だったし、皿やグラスに吸殻放り込むようなカス野郎もいなかった。(大衆居酒屋は普通にいた)

 

対して、大衆居酒屋の方はまぁスーパーブラックだった(笑)

 

店長も人使い荒かったし、店も超不衛生だったし、小さい会社なので給料も手渡し&明細なし。賄いも少量でまぁまぁ良い値段とっていた。

 

どことは言わないが、場所はビルのフロアに幾つも居酒屋が入るタイプの居酒屋で、トイレが共用スペースなので、トイレ掃除がなかったくらいしか良かったことがない。

 

渋谷の居酒屋では結構有名な場所である。

 

なので、週末やイベントの日は、こちらも激混みなのだが、店長の人使いが荒いせいと、時給が悪い上に、中堅居酒屋みたいな忙しい日は時給アップみたいなのもなかったので、人手不足が特に酷かった。

 

そのせいで、バイトが飛んだせいで他のバイトの負担が増えて、その人も飛ぶという負のスパイラルだった。

 

店長が人を辞めさせない努力をしない自分を変えない人だったから、まぁ仕方ないのもあるだろう。

 

社会人になってから1年ぶりに客として覗いたら、知っている人が誰もいなかった笑

 

ちなみに不衛生とはどれほどかと言うと、バックルームは激狭な上に今まで1度も掃除したことないような状態で、タバコの灰や油で床や壁がドス黒い色をしている。厨房も同様。

 

よくある雑居ビルとビルの間の隙間みたいな状態。

 

絶対に私物を落としたくないような感じ。

 

しかも、営業中なのにネズミがたまに出てくる。

 

明けに出勤してくると、毎回厨房のグラスや皿置き場にはネズミの糞が散乱していた。

 

私には耐えられなかったので、営業開始までに全部洗っていたが、他の人らは特に気にしていないため、そのまま使っていた。

 

たまにグラス内に黒いのが入ってたら水で濯ぐ程度。

 

製氷機ボックスなんかも糞が混入していて、たまにお客さんから返されてくることもあった。(客は糞だとは気づいてないと思う)

 

ドリンクは1人で作るので、忙しすぎて氷まで丁寧にチェックしていられないのだ。

 

ダメだったら客から返されるから、その時に作り直せばいいや感覚。

 

とにかく1人で1度に2-3杯同時進行で作らないと間に合わないレベル。

 

居酒屋初心者が週2程度の出勤で、すぐさばけるようなことではない。

 

人がすぐ辞めていくので人が育たないのである。ドリンクが遅いと当然、客と店長両方から責められる中で作るのでプレッシャーしかない。

 

当然辞めはしなかったが、シフトの割合が中堅居酒屋の方に寄るようになった。

 

ちなみに大衆居酒屋の方は、朝5時に店から出る時も、天井からドコドコ音がするから、当時ウブな自分は先輩に「上にもまだ人がいるんですかねぇ」なんて言ったら、上は誰もいない。これネズミ。人が居なくなったら出てくる。と言われ一瞬動けなくなった。

 

私は自分では潔癖だとは思ってないが、それ以来、繁華街の古いビルに入った大衆居酒屋には行けなくなった。

 

それに比べ中堅居酒屋は、会社が大きいだけあって、やはりしっかり最低限の衛生は保てていたと思う。

 

渋谷なので建物は古いし、ネズミもいくらその店だけ綺麗にしても周りから来てしまうので、それは防げないが、少なくともグラスや氷、食品にネズミが触れられるような環境にはしていない。

 

また、ドリンクの作り方も大衆居酒屋は例えばサワーや梅酒は紙パックのシロップだったが、中堅居酒屋は生搾りだったり、瓶の少し良いものだった。

 

なので中堅居酒屋は働きやすかったが、しかし私はドブネズミが大嫌いなので、やはり渋谷で働くのは大変だった。

 

実は渋谷で働くまでドブネズミを生で見たことがなかった。

 

働いてからは毎回見ない日はなかったけど()

 

先輩からは慣れるだの、ハムスターに見えてくるとか訳分からんこと言われたが、結局半年経ってもそんな日はこなかった。

 

1番中堅居酒屋ですらしんどかったのは、ごみ捨てだ。

 

ビル管理会社が用意している共同のゴミ捨て場があるのだが、ビルとビルの間にあるので当然ネズミや酔っ払いクソ野郎のゲロがあった。

 

そのゲロにネズミが集っていたりして、もう地獄絵図である。

 

そんななかで、ゴンドラの鍵をあけてゴミを入れていかないといけない。

 

たまに他の店の従業員がネズミにビビってゴンドラの鍵を閉めずに扉が開いたまま帰ってしまって、中にネズミが侵入しているケースがある。

 

先輩はそういう時は、まず扉をガンガン叩く。そうするとネズミが一斉に出てくる。

 

私は、この瞬間気絶しそうになった。

 

結局、私が最後まで1人でゴミ捨てに行けたことは1度もない。

 

ネズミに慣れないと渋谷では働けないぞと言われたが、確かに夜勤で明けまで働く人はその必要があると思った。

 

ちなみに、私は朝5時に店を出て、渋谷駅まで歩く時間が割と好きだった。

 

夜明け前の静かな状態の渋谷で、色々な光景を見るからだ。

 

クラブ帰りかなんかのテンション高い若者グループ、吐いて倒れてる人、明らかに水商売っぽいお姉ちゃんやお兄さん達といった、まるで歌舞伎町っぽい光景が当時の自分に新鮮で少し楽しかった。

 

あれが何年も続いたら確実に嫌になっていたと思う。最後の方は少しそうなっていた。

 

渋谷の居酒屋で働くのは大変だったし、工場やカフェのバイトの方が楽に稼げたけど、居酒屋で働く人達はノリがよくて気さくな人が多くて、色々な事情を抱えている人がいて、働いていて凄く楽しかった。

 

あと、お客さんと仲良くなる良い出会いの場でもあった。

 

自分が入った時は恋人がいないのは私しかおらず、店長にも恋人いないのはお前が初めてだと言われた。

 

でも、その1ヶ月後に恋人がその居酒屋でできたので居酒屋店員はモテるのである。

 

もう一度渋谷で働きたいとは思わないが、人生に1回くらいは体験してみるといいと思った[完]